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コラム

キャリアコンサルタント森ゆきの働き方改革の進め方No.04

男性社員の育休
あなたの会社の対応は?

厚生労働省によると、男性の育児休業(育休)取得率は6.16%(2018年度)。少しずつ増加しているとはいえ、女性の育休取得率82.2%(2018年)と比べるとまだまだの数値です。男性の育休取得は長い間、浸透しない状況が続いたものの、最近になって、企業が積極的に取り組む動きが出ています。なぜ今、企業は『男性育休』に積極的になってきたのか?今回はこのテーマを解説します。

◆ 「育休を取得したい」と考える男性は79.5%も!

こんにちは。コラムの連載をしている、キャリアコンサルタント(通称キャリコン)の森ゆきです。私は日頃、企業の従業員向けに、研修や面談を実施しています。このコラムでは、企業の人材活用の視点から「働き方改革の進め方」について、毎号、解説をしています。今回のテーマは「男性の育休について」です。

昨今、我が子が誕生したら「育休を取得したい」と考える若い男性は増えています。(公財)日本生産性本部が行った「2017年度 新入社員 秋の意識調査」では、「子供が生まれたら育休を取得したい」と回答したのは、女性が98.2%、男性でも79.5%だったそうです。経営者や管理職の世代とは、だいぶ意識に差があると感じられるのではないでしょうか。

本来、育休は男女ともに社員から申請があれば、会社側は取得させなければなりません。しかし、本人からの申請がなければ育休を取らせる義務はありません。「うちの会社では、男性社員からの育休取得の申し出がないので、何も対応していない」という企業が多いのではないでしょうか。

◆ 男性育休を積極的に取らせる企業が増えている

しかし最近では、企業側から積極的に男性の育休を推奨するケースが増えています。

例えば、(株)三菱UFJ銀行では、2019年5月から、2歳未満の子どもを持つ男性行員全員に育休を取得させることを、事実上義務化したとして話題になりました。同行ではまた、上司が部下に適切に育休の取得をさせたかどうかを、上司の人事評価に反映させます。つまり、「男性育休は上司の義務」と言うことですね。

別の例で、ちばぎん証券(株)では、社員に子どもが産まれた際に、「育休を取ることを条件」として出産祝金を支給しているそうです。そのため、同社では男性の育休取得率が100%!素晴らしい実績として、千葉県から表彰をされるなどしています。

◆ 男性社員の育休、企業にどんなメリットがあるのか?

経営者や管理職の方の中には、「男性社員に育休なんて、とんでもない!仕事が回らなくなってしまう」と感じている方もいるでしょう。では果たして、男性の育休取得は企業にとってメリットはあるのでしょうか?

男性社員に育休を取らせることの企業へのメリットは、大きく3点あります。
① 優秀な人材の確保と定着
② 本人や上司のマネジメント力の向上
③ 組織の業務全体の効率化

①は、最近の若い人たちは、「働き続けやすさ」を重要視する傾向があります。女性が育児と仕事の両立をしやすいような制度を整えるのは今や当たり前。男性も育児との両立ができる環境であることは、若手・中堅からは「魅力的な職場」と感じてもらえます。また、離職防止にも効果が期待できるでしょう。

②と③は、職場の主力メンバーがしばらく休業するという状況の中で、仕事の割り振りや業務フローなどの見直しをすることで、全体のマネジメント力や業務効率が飛躍的に上がります。そしてこれこそが、真の働き方改革につながっていくのです。少し長い目でみれば、企業にとってもメリットがたくさんあると言えるでしょう。

◆ 業務の引継ぎ、臨時対応などは育休中も可能

男性育休に関する複数の調査で、男性が育休を取る(取らせる)ことができない理由に「育休中に仕事を引き継げる人がいない」と言うのが多く挙がります。

育休は「休業」ですので、原則として仕事をすることはできません。しかし、実は例外もあるんです。厚生労働省の「育児休業中の就労について」には、『育児休業中の就労について、労使の話し合いにより、子の養育をする必要のない期間に、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することはできます』と、記載されています。

つまり、恒常的な業務は駄目だけれど、突発的なトラブルなどでその人にしか対応できないときは、対応しても良い、ということです。その際、自宅でも対応ができるなどの環境が必要ですが、育休中でも「どうしても自分でなければ」という業務は、対応することが可能なのです。

貴社でも男性社員の育休を、推奨してはいかがでしょう?ご相談はお気軽に、お問い合わせください。

 

【メディア掲載のお知らせ】
日経新聞電子版、日経BizGate『私の道しるべ』で取り上げられています。企業におけるキャリアコンサルタントの活用について、私が熱く語っている動画もあります!ぜひ、ご覧ください。
 
URL
https://ps.nikkei.co.jp/myroad/keyperson/mori_yuki/

 

■プロフィール
森 ゆき(もり・ゆき)
 
22年間の企業勤務の後、2015年にキャリアコンサルタントとして独立。さまざまな企業に向けて従業員の「働き方面談(キャリア面談)」を年間約100名実施する他、講師としてキャリアデザイン研修、メンタルヘルス研修など、年間約100本の研修に登壇している。プライベートでは2男1女の母親。
 
▼ 保有資格
・国家資格 キャリアコンサルタント(登録番号:16185111)
・メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種(マスターコース)
・女性労働協会 認定講師
▼ 著書
『働き方改革は社員のモチベーション改革~プロの活用で、即効性と持続性のある真の改革を~』
(2019年5月出版)
『キャリアコンサルタントの稼ぎ方~企業領域でキャリア支援の専門家として活躍する~』
(2019年5月出版)
『~未来の挑戦に迷っているあなたへ~「女性のキャリア」のつくり方』
(2018年6月出版) 
▼ Webサイト[マイキャリア・ラボ]
https://www.mycareer-lab.co.jp/
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