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コラム

オフを充実させ、より良いビジネスライフを! 大人が楽しむアウトドア考

アウトドアのオリジナルグッズ開発を手がける、イナウトドア合同会社の森豊雪代表が、アウトドアの魅力をお伝えする連載コラム。今回のテーマは生命の源である「海」だ。マリンスポーツというと夏をイメージしがちだが、実際にはオールシーズン楽しめるものも多い。海でのアウトドア活動の魅力とそれに伴う問題点を、独自の視点から紹介していく。
 

◎海は絶大な開放感を得られる場所

秋の行楽シーズンも過ぎ、冬に差しかかろうとしているこの時期だが、私自身は神奈川県の海沿いに住んでいるので、今回は海でのアウトドア活動についてお話しをさせていただきたい。

海でのアウトドア活動というと、真っ先に思い浮かぶのは、「海水浴」「釣り」「サーフィン」「シーカヤック」「SUP」などであろうか。もちろん、その他にも数多くの楽しみ方があると思う。本連載の趣旨は「大人のアウトドア考」なのだから、「ヨット」などの魅力について考察してみたいところだが、残念ながら私自身にその経験がほとんどない。

海水浴は別にしても、釣りなどのアクティビティは年間を通じてできそうなものである。最近は海水浴が好まれない傾向にあるらしく、その最大の要因は「塩」だという。プールなどの真水と異なり、塩水は肌に残るベタベタ感が否めないし、さらには体に砂が付いた後の処理がけっこう大変だからだ。私としてはきれいなプールも好ましいものの、こと開放感に関しては、海のそれとは比較にならないと思っている。大げさに思われるかも知れないが、この海原が海外ともつながっているという事実に、ある種のロマンさえ感じるのだ。海水浴の最中に海に浮かんでいると、本当に自分が自然の中で生かされているという気持ちになる。太古の時から循環を繰り返し、地球の生命の源にもなってきた海水と、生命を守るために地球を照らし続けてくれている太陽だけを感じる世界は得も言われず、それは自分自身をリセットできる時間だ。最近ではライフジャケットなども比較的手に入れやすいので、それを装着して海に浮かぶのは本当に心地良いし、また安心感もある。青空を眺めるだけならばハンモックやコットの上でもできるが、やはり水上にいる感覚はまったくの別ものだ。当然ながら、水中なので体温の低下も伴うし、長時間行うのは厳しいものがある――もし、現在の技術で体温を何とか維持できるような装置があれば(ウェットスーツなどもあるにはあるが)、もっと長い時間、そうした至福の水上浮遊を楽しめるのだが。

◎大人を水の前に釘付けにしてしまう釣りの魅力

次に釣りについて。釣りもまた、海沿いにおけるアウトドア活動の代表格の1つだろう。私の自宅は割と海に近いので、子どもたちと気軽に釣りに行くことができた。朝、天候を見ながらわずかな道具を持って海に繰り出す。海に行くまでの時間も短く、私はそんなミニマムサイズのレジャーをけっこう好んでいる。レジャーや旅行に関しては、「普段は行けない遠方へ向かうもの」という考えもあるとは思うが、何を目的にするかによってプランを変えてもいいと思う。キャンプなどでも思うことだが、野外での活動にはどうしても「準備が大変」という印象がついてまわる。もちろん準備は大切だが、それが大変だからという理由で出かけるのがおっくうになってしまってはもったいない。そのためには欲張らないことも必要だと思う。やりたいことがたくさんあっても、ある程度目的を絞り込み、準備を縮減して身軽に出かける――私としては、それがこつの1つだと考えている。

話を釣りに戻そう。釣りは素敵なものだ。獲物がかかろうがかかるまいが、大の大人を水の前に釘付けにしてしまうのだから。また、ある種のギャンブル性も含むのかもしれない。思いもかけない大物を釣り上げることがあれば、一匹も釣れない、いわゆる「ボウズ」の時もある。そういった点では他のレジャーとは少し毛色が異なると言えるだろう。先にも書いたように大の大人が水の前に釘付けになるのだから、釣りにはそれだけ人を引き込む魅力があるのだと思う。

◎新感覚のマリンスポーツ「SUP」

最後は「SUP」について。SUPとはスタンドアップパドルボードの略で、サーフボードの上に立ち、一本のパドルをもって漕ぎながら水面を進むウォータースポーツだ。ハワイが発祥の地と言われているが、確かに、優雅に水面を進む姿はハワイのビーチをイメージさせるものがある。SUPではボードに立って水を漕ぐほかに、水上でヨガをしたり、椅子をつけてボート代わりにしたりして釣りを楽しんだりもできる。私も(遅ればせながら?)SUPを始めたのだが、思いのほかこれが楽しい。しかし、体幹が安定しておらず、またバランス感覚が悪いので、海に何度もダイブしてしまい、ボード上にいられる時間は極めて短い。そんな私がSUPを行うのは、神奈川県の中でも透明度が極めて高い海において。特に冬の透明度が高い時などはボードの上から見ていると、空中浮遊して雲の上から眺めているような気分に浸ることができる。透き通る海に陽の光が差し込んで、海の中が明るく照らしだされた海面をゆっくりと進む――これもまた、癒やされるひと時だ。もっと長い時間、ゆったりと乗れるようになりたい。このように、海沿いでの活動は現代社会でストレスにさらされている私たちの日々の疲れを癒やしてくれる。

ただ、今回紹介した海沿いでのアウトドアを楽しむうえで切っても切り離せないのがごみ問題だ。以前にもこのコラムで書いたが、海岸でのごみ問題は深刻である。一人ひとりがごみを減らすことに意識的になり、できるだけごみを出さないように努めたい。ごみの中には漂着ごみもあり、それらは各国から出るものであるわけで、ごみ問題は全世界的に取り組むべき課題であろう。神奈川県には、全国で唯一の海岸美化のための財団、「かながわ海岸美化財団」がある。美化啓発活動や調査研究、支援活動を行うとともに、美化活動として自らビーチクリーンに取り組み、われわれ一般人がボランティアで海岸清掃をした際の海岸ごみも処分してもらえるのだ。同財団のような方たちが、そんな地道な活動で海岸をきれいに保ってくれているからこそ、私たちが快適に海での活動を楽しむことができるのだ。私もまた微力ながら海岸清掃を続け、これからも美しい海でさまざまな活動を楽しんでいきたい。

▶イナウトドア(同)では親子向けスクールや焚き火体験なども行っております。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
 
https://www.inoutdoor.work/school
■プロフィール
森 豊雪

学業修了後はエネルギー関連の製造会社に入社し、30年以上にわたって勤務する。55歳を迎えて新しい道を模索。もともと趣味で活動していたアウトドア分野で起業することを決意し、イナウトドア(同)を立ち上げた。現在は、オリジナルアウトドアグッズの開発や、サバイバル教室などの展開、自然保護のボランティア活動に注力している。
 
※保有資格
・NCAJ 認定 キャンプインストラクター
・JBS 認定 ブッシュクラフトインストラクター
・日赤救急法救急員他
■企業情報
イナウトドア 合同会社
〒238-0114
神奈川県三浦市初声町和田3079-3
■URL
https://www.inoutdoor.work/
■Twitter
@moritoyo1

 
 

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